Ancient dZi Beads 2
ここではジービーズの中でもチョンジー(Chung dZi)と呼ばれる『線』が描かれたジーをご紹介します。
1〜4本のラインが描かれたものが一般的になります。(※数え方によっては黒い部分も数え、7ラインとする場合もあります。)Ancient dZi Beads1でご紹介している『眼』が描かれたジービーズよりも時代が古く、時代を経て徐々に眼が描かれていくようになった事が分かっています。(※一部エッジドカーネリアンなどにも眼が描かれているものがあります。)
ご紹介しているチョンジーの中でも時代差があり、どれが初期の頃のものなのか考えてみてください。模様の入り方で何となく気付けるかと思います。
これらの古代ビーズの多くが、現在のパキスタンやアフガニスタン周辺で作られ、交易によってチベットへもたらされました。天から降ってきただの、虫がビーズに変わっただのといった伝説も嫌いではないですが、事実は伝説とは異なります。
さて、この『線』は一体何を表しているんでしょうか?
様々な古代ビーズを見て共通する部分を探してみてください。
また、多くのジービーズを見ていると左右で色の染まり方が違うジーが多いことに気が付きます。
ここまで多いのには何か理由があるはずで、個人的には陰陽を表しているんじゃないかって思っていますがどうなんでしょうね。
特に初期の頃のジー(ボンジーやチョンジー)で分かりやすく確認ができるんですけど何でかというと…。

(with four line)
特大サイズに加え、最大の特徴は母体がオレンジ色である事です。赤みかかったチョンジーって数が少ないんです。今となってはなかなかお目にかかれない逸品です。

(with three line)
若干の白いラインが残っているので多分3ラインだったんだろうなと。いくつもの削り跡が残っており、薬として服用されたんだろうなと。中央にクリスタルの眼が存在し、白いラインが流れたのが影響してかハッキリと強烈な眼となってこのチョンジーの魅力を引き立たせています。

(with four line)
非常に小さなサイズの4ライン チョンジー。画像からも分かるように滑らかな肌が特徴的です。チョンジーでこういった肌はなかなかありません。

(with three line)
非常に小さな3ライン チョンジー。白いラインは長い年月をかけて取れてしまったのか。それとも当時からこの感じだったのか。

(with one line)
1ラインと言うべきか。それとも2ラインと言うべきか悩むチョンジーです。右のラインの感じからその辺りを感じ取れるかと。

(with one line)
見事な風化紋を有するバンド模様の1ラインチョンジー。画像の左側には肉眼でも確認できるほどのブラッドスポットがあります。

(with one line)
大型の1ラインチョンジー。とろけるような肌が画像からも分かります。中央から左側の黒とクリーム色の感じがたまりません。同サイズの相方がいますのでこれは…。

(with one line)
大型の1ラインチョンジー。もうお分かりでしょうけど、こちらが相方さんです。石の質感から色の感じが違うんですけど、サイズも模様のバランスもピッタリですのでペアとして作られたと考える方が自然です。こちらはブラッドスポットを有しております。

(Black White dZi)
無数の眼を有する風情の良い小粒白黒チョンジーです。ゴツゴツとした印象ですが、手触りは非常に滑らかです。

(Black White dZi)
小粒の中でも一回りサイズが大きい白黒チョンジー。背面に強烈な眼がいるんです。綺麗に染め上げられており実に見事。眼というかサコなんですけど。

(Black White dZi)
小粒の白黒チョンジー。硬い質感の瑪瑙ではこのように色が入りにくかったようです。黒い部分にラインが確認できますが、クラックなどがあるとそこに沿って色が流れるというのがこのジーからもよく分かります。

(Black White dZi)
クリスタルの眼が印象的な小粒の白黒チョンジー。なんでわざわざクリスタルの眼の方を黒く染めたんでしょうね。色が入らないことは分かっていただろうに…。

(with one line)
珍しい模様の1ライン チョンジー。な斜めに描かれており、タッソーのようにも見えます。

(with one line)
母体が赤い非常に珍しい1ライン チョンジー。光に翳すと真っ赤になる様子は神々しさを感じさせます。

(Black White dZi)
非常に滑らかな肌が特徴的な小粒白黒チョンジー。右側の様子から、綺麗に色を染め上げることが如何に難しかったかという事が分かります。

(with one line)
風情の良い1ライン チョンジー。中央のラインとアールのラインが確認できると思います。ジーにする前の石選びが重要だった事がよく分かります。

(with one line)
一回り大きな1ライン チョンジー。これだけしっかり染め上げられていても光に翳すと透け、幻想的な景色を演出しているようです。

(with one line)
硬い質感の母体にも関わらず、肌触りは非常に滑らかな1ライン チョンジー。光を翳すと内部にクラックが確認出来ますが、そこがかえって幻想的な景色を演出してくれます。

(with one line)
何とも言えぬ肌触りと無数の眼を有する小粒の1ライン チョンジー。クリーム色の感じがたまりません。

(Black White dZi)
滑らかな肌の白黒チョンジー。白い部分に黒いリング状の染色跡が確認出来ます。資料的にも大変興味深いチョンジー。
dZi Beads(ジービーズ)について
ジーについて知れば知るほど天珠とは呼ばなくなりました。天珠という呼び名に嫌悪感を示すチベット人も多い様です。現地の人達がジーって呼んでいるのなら、そこは尊重してジーって呼べばいいよね。中国とチベットとの微妙な関係性を考えれば当然そうすべきだし、わざわざ漢字に置き換える必要はないですよね。
世の中(日本)のジービーズと呼ばれるものは概ね下記の5つかと思います。
- 古代よりチベット系民族により代々受け継がれてきたもの。
- 出土品。古代に特権階級の為に作られ埋葬されたものなど。
- 100年程度経過したガラス・セラミック製のコピー。
- 1940年頃コピーとして制作され、50年程度チベットの人々が身につけてきたもの。
- 近年に台湾や中国などで作られたコピー。
個人的に1以外は本物のジーと呼びたくはありません。1と2は制作場所や時代は同じでも歩んできた歴史が異なります。2は考古学の資料やアンティークビーズとしての価値はあっても、チベタンが代々受け継いできたジーにはなれません。残念ながらここが混同してしまう人が非常に多い。
区別されると都合が悪くなっちゃう人達がいるんですね。そういった人達が出土品を伝世品だと偽ってマーケットに流していきます。かなり前から伝世品と出土品がごちゃまぜにされ、区別がつきにくくされていました。こうなるともう素人にはお手上げです。
3以下は1・2とは明確に区別されますが、この3や4に新たな価値を見出し商売にしている方々がいます。これらは今尚、チベタンによって本物のジーだと信じ大切に身につけられています。それを古代のジーと比べると歴史としては浅いけれど、チベタンが身に付けてきたものだから〜ってやるわけです。ビンテージとか何とか言いながら販売されているのがそれです。値段は大きく差がありますが、そもそも安くしてるから良いって問題でもありません。5は古代のジーに似せようと作られたコピー。最近では古代と同じ製法だから〜とか何とか言いながら売られています。そもそも古代のジーと同じ製法だとご利益があるとでも思っているんでしょうか…。寺院で開眼してもらった〜とか、お坊さんが身に付けていた〜など、あらゆる手法を駆使しながら付加価値を付けていきます。スピリチュアルな要素があった方が御守りとしては良いってのは分からなくもないですが…。
※模様を焼き付ける行為自体に意味があったという考えもあります。
2〜5にもチベット人が関わっているようで、より複雑になっちゃってます。
数年前、中国の成都のチベット人街に行った際、コピーが販売されているのを見てきました。説明書きにはちゃんと『台湾天珠』と書かれ、コピーとして販売されていたのが印象的で、日本よりある意味ちゃんとしてるじゃない…ってショックでした。日本の販売店さん全てに悪意があるわけでもないようですが、よくよく調べもせず、言われるがまま販売している事自体問題でしょう。自分自身で整理をして、感情に流されず、数学の公式に当てはめて淡々と答えを導き出す様なそんな冷静さが必要になります。